■過去記事 産前・産後の不調と運動機能 ■

昔の記事を再アップ。
書き直ししていないので、ちょっと繋がっていない事も・・・あしからず。
2010/10/23の記事です。
おーこれ、娘を産む前の記事です。
懐かしい★

AERA with Baby(http://aerababy.jp/)のスペシャル保存版で妊娠・出産の特集号があります。

http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=11465
この中の記事で産後の身体の悩みが挙げられています。
運動機能の部分だけを抜粋すると、

第1位 腰痛
第2位 肩こり
第3位 腱鞘炎
第4位 手足のしびれ

ふむふむ、、、と読んでみると、皆さん色々悩んでいらっしゃるのですね。
どうしても、雑誌では対処方法しか紹介されません。
恐らく、産院でも対処療法や、「産後はしょうがないですね」とか「授乳中はしょうがないんですよね。」という答えをされた方、多いと思います。

しかし、このコラムに書き綴っているように、運動機能の側面から見ていくと、改善出来る事はたくさんあるのです。
一人一人身体にも個性があり、環境によっても違います。
これらの症状は、すでに妊娠中から出ている方も多いように感じます。

第1位となっている腰痛の文章を拝読すると、妊娠中から腰痛があり、それが産後赤ちゃんのケアで身体に負担がかかりひどくなるケースが多い、といった記載があります。

検診の時や、市街ですれ違う妊婦さんの歩き方を見ていると、腰痛があってもしょうがないよなーと思う歩き方をしている人は多くみかけます。

平山が「身体の使い方が違う気がする」と、思ったきっかけが、西洋人と日本人、そもそもの作り(解剖学上の作りです)が同じはずなのに、どうして体型に差が出たり、運動の結果に差が出るのか?という所だったと言います。
AWARENESS ANATOMY(R)の解説にも書いておりますが、やはり同じ人間なのに、環境によって、使い方は変わってくるのです。
この使い方の違いの結果起こるトラブルがたくさんあります。

肩こり、腰痛って日本人に多い症状ってご存知ですか?
特に、四十肩や五十肩は海外だとなかなか分かってもらえないそうです。

一般の解説になると、マタニティから離れてしまうので、これらの解説は過去のワークショップレポート、平山のコラム(テーマ:スポーツ)などをご覧頂けると幸いです。

さて、AERA with Babyに出てきたこれらのトラブルですが、機能面で問題が出ている場合には、腰痛は骨盤・股関節の機能を正常にし、各部位の拮抗関係がバランス良く成り立てば痛みはほとんど消えます。
肩こりは、肩関節の可動域の制限がかかってしまっている為、上半身の屈曲が強く出ている時に起こっています。
これは、授乳の姿勢にも関連するのですが、呼吸器筋群が正常な動きをしていないケースを多く見受けます。
腱鞘炎は腰痛と肩こりで留まらなくなった時に起こっているケースがほとんどです。
こちらも継続的に屈曲姿勢が続くと起こるため、骨盤・股関節、肩関節・呼吸器筋群の正常化が解決の鍵となります。
手足のしびれも腰痛と肩こりで起きている結果となるので、腱鞘炎の改善方法と同じ目線で見ていきます。
このように、運動機能の側面から何故このトラブルが起こってしまうのかが解決出来ます。
まずは、これらのトラブルを抱えた場合に、自分自身の環境と身体の状態を見直す必要が出てきます。
また、上記に挙げられているトラブルと乳腺炎との関係も密接です。
乳腺炎が起こると、皆さんお食事には気を使いますが、運動機能面を改善しないと、再発しやすいというのを知っている方が少ないです。
また、気候にも影響を受ける事があります。
そもそも、母乳は血液の流れと一緒だと思って下さい。
血液循環の滞りが出てくれば、当然母乳も滞りやすくなります。

以前、授乳の観察でとっても感心した事があります。
真冬の東北地方で里帰り出産をした友人の話しなのですが、母乳の出方を観察していると、急に気温が上がったり、天気が続くと母乳が出やすくなる、というのです。
寒い地方の冬に出産した友人は、東京に戻ってきたのは春先です。
ちょうど、気圧の変動が大きい時期ですよね?そうすると、そういえば寒いとそんなに勢い良く母乳が出ていない、急に暑くなるとシャーと勢いが増す、という事に気づいたそうなんです。
実はこれ、気圧の変動と関わるのです。
気圧が上昇する事で、普段よりも身体全体に圧がかかります。
よく、気圧の高い所に行くと(日本の気候に対してはハワイとかですかね。)身体が楽になる、という話しを聞きませんか?
私たちの身体は「膜」と「膜」に水分が包まれて維持されています。(身体の約70%が水分、というのはご存知の方も多いかと思います。)血液も血管という「管」でもあり、「膜」とも言えますよね?
この「膜」は体内の適度な圧によって、各部位が維持されています。適度な腹圧や血圧があって維持が出来ているのです。
気圧の変動によって、身体がむくみやすくなったり、逆に調子がよくなったりしませんか?
これらは、私たちの身体が「圧」によって、あらゆる水分を調整する機能を持っているからなのです。
いくら食べるものを注意しても、私たちの身体が気圧に対応しない時には、母乳の出方も変わってしまいます。
妊娠前から気圧が下がるとむくみやすい人は、当然、乳腺炎も起こしやすくなります。
そういった方は、下肢のリバースポンプ機能(コラム15を参照の事)が働き難いはずなので、股関節の可動域を広げ「安定」させる事が必須となります。
また、足首の可動域と、足裏の接地面の安定も重要となります。
下腿部の収縮が正常に起こらないとむくみは改善されません。
産後のトリートメントでも、足首?股関節は欠かせないポイントとなります。

そして、もう一点忘れてはいけないのが、上肢です。

第2位の肩こりと、第3位の腱鞘炎。これらも放っておくと、乳腺炎の原因になります。
また、第4位にある「しびれ」のうち、手のしびれも同様です。
これらが起こっている時の運動機能の症状は、簡単に言うと「猫背の継続」です。
特に、継続したしびれが起きている時は、小胸筋の下に多く存在する腕神経の圧迫が考えられます。
この小胸筋が過剰に収縮してしまうと、背中側がどんどん丸くなるのです。前側の小胸筋が強く収縮した分、後ろ側のローテーターカフ(肩甲骨を作る筋肉)や菱形筋、広背筋といった呼吸に関わる筋群の収縮が上手くいかず、前にひっぱられて後ろが伸びて固まってしまう状態です。
その時、肩の関節は伸展・外旋が出来ない状態です。
乳腺炎で悩んでいるお母さん達の身体は、こんな状態になっています。
正常な姿勢の維持に必要な引っぱり合いが出来ないのです。
どうしても授乳時に赤ちゃんを前側に抱え込む姿勢が継続する結果だと思います。
よく皆さんが使用している授乳クッション(よく見る形、と言うと分かりますよね?)だと、高さが低かったり、柔らかいため、クッションの状況に自分の身体を合わせてしまっている傾向が見受けられるのです。
この姿勢を維持すれば、当然肩こりはなくなりません。
母乳マッサージを受けたりすると、肩こりが一瞬取れますが、また肩が張ってきてしまうのは、上肢の各関節や運動機能が正常ではなくなっているからなのです。
授乳クッションを自分に合わせて作ったり、たすきがけをして授乳をするなど、日々のちょっとした努力でトラブルは回避が出来ます。
何より、出来ればこれらの症状に至らないように、妊娠する前に自分自身の身体を見つめ直しておくことがスムーズな妊娠・出産を導くとも言えると思います。
よく、「私は筋力がないからだわ」とおっしゃるお母さんに出会いますが、筋力の問題ではなく、「使い方」の問題です。
鍛えるエクササイズなどを必死にやるよりも、生活環境を見直して、身体の使い方を変えるだけで良いのです。
「そもそも」の位置に戻すだけで、トラブルは回避出来ます。
Studio Pivotでは、腹筋・背筋・スクワット等はやめて頂いております。「そもそも」から逸脱した身体では、腹筋も背筋も正常に行われないからです。
産後太りを改善する為には、まず各関節機能を正常にする事からはじめてもらっています。

産後の運動機能については、赤ちゃんの運動機能の解説も含めて、今後更に詳しく書いて行く予定です。

プログラム・ディレクター
原田 優子